- 話す技術(F指導員)
声帯のある人健常者でも、いざ人前で何かお話をするとなると、なかなかそう簡単に行かない。ましてや我々喉摘者にいたっては、肝心の発声自体に問題があるのだから、上手に話すどころか、相手に通じていると一人よがりしても、下手をするとあまり通じてしなかったりする事になりかねない。話の内容が相手に伝わらないのでは全くお話にならない。我々は先ず相手に完全に理解してもらえることを目標に、正しい発声に心がけなければならない。お互い他人の欠点はよく判るものである。従って教室では人のふり見て我がふり直す精神を持って、自分に厳しく基本発声の練習を真剣に行わなければならない。
銀鈴会では毎週火曜日に上級教室の人の3分間スピーチを順番に行っているが、それに備えて何日も前から皆真剣に練習を行い、結果多くの人は驚くほどの堂々たるスピーチをやってのけてしまうのである。大勢の人の前ではなすという目的意識が、漠然とした練習とは比較にならないほど大きな訓練効果を生むのである。只、元々人には話し上手とそうでない人がいるわけで。口下手な人に名スピーチを求めても無理であろうが、聞く人の心を打つ話は決して不可能ではないのである。だいぶ以前に読んだことがある本に「話す技術」について書かれていたが要約して紹介してみたいと思う。
銀鈴会の定期総会の日に行うスピーチコンテストの参考になるかもしれないし、食道発声による本当に生まれ変わった第二の人生の明かり光明になるようにも思えるからである。
最後に、食道発声の泣き所である。言葉の明瞭度、めりはり、感情を込めた抑揚に注意し、また言葉をあまりぶつ切りにしないように注意し、軽快に話すことである。
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