• 宿泊発声訓練に参加して
    (S.Yさん;北の鈴11号より)


  •  声を失うという人生のピンチにぶち当たり、思うように話せないはがゆさを持った者達が集まり、手術前のようには話せないのは覚悟のうえで、以前の十分の一でもいいから、思っていることを伝えるように成りたい一心で宿泊発声訓練に参加致しました。

     全道各地より参加されていて、初対面の方人も多かったのですが、札幌教室の顔見知りの万カもおられてひと安心しました。

     自己紹介から始まり、指導されるボランティアの講師達の熱意ある指導で、大変有意義な合宿訓練でした。カリキュラムも、初心者もこなせる簡易なものから、基本に戻りじっくりと焦らず取り組む事を念頭に置いたものなど、とても実りあるものでした。

     特に伺じ喉頭摘出者が抱く日頃の健康管理について、同病の先輩としての経験をご指導して頂いたことは、大変ために成ることと思いました。

     札幌教室は、最近毎週の様に新入会員が入会され指導員め数名は、そちらの応対に追われ個別指導を充分に行う時間が少なく多少物足りなさを感じておりましたが、合宿訓練ではクラス別に個人指導して頂けるので、とても密度の濃いものでした。
    即、効果が出るわげではないでしょうが、

    今までの不安が少しずつ消え、明るい希望が開けそうな気がしたのは私だけではなかったと思います。
    それにしても、ボランティアでご指導して下さる諸先輩の好意には心よりお礼を申し上げます。

     私が手術を受けた東京の癌研附属病院では、毎週火曜に耳鼻科の看護婦さんが、これから手術を受ける愚者さんに「食道発声」の講話を二時間程度されていました。
     また、東京銀鈴会の指導員も二名程度同席されていて、実際の体験談を通じての話をされておりました。

    従って医師も「食道発声」で可能な限り声のでやすい手術への、努力している様子でした。手術を受ける前に上手な先輩の話を聞き、健常者とあまり変わらない話し声を確認してから手術を受けるわけです。

     私の場合、東京で手術を受ける前に札幌の病院で北鈴会を紹介され見学してから手術を受けたので、銀鈴会の万々の話を聞くまでもなく、不安も、ブレッシャもありませんでした。

     「食道発声」に対する病院や医師の理解と認識がもっと深まれば食道発声がもう少し容易になるのではと考えるのは私しだけでありましょうか。

     北鈴会の存在と価値が益々大きく成りつつあるように思え、それがボランティアであることに敬意を抱きます。