(1)力んで長いことばの会話をつづけていますと、息継ぎの時に気管孔を通して無意識に大量の空気の吸引、吐き出しが頻繁に行われることになります。
その結果、肺の中に酸素の取りすぎ状態となり、人によっては過呼吸症候群といって酸素に蓄積が多くなって、かえって呼吸困難となり顔面蒼白、脈傳もわるくなり、軽いショック様の症状を呈して心配になります。この場合、酸素吸入は行わず、反対に呼気の炭酸ガスを吸入するようにビニール袋を用いて、鼻や口をおおってやればまもなく回復します。
このような現象が起こりますと、これが頭痛と呼吸のくるしくなる原因です。
(2)会話中の発声運動の際に緊張して頸部、胸、肩に力が入りすぎると、この場所の筋肉がこわばり、疲れ切って肩がこり重くるしく感じます。
これも頭痛の原因となります。
(3)発声練習に熱心に打ち込んで短期間に食道発声法に上達されたその反面、発声と器官呼吸の調節、また全身的コントロールがまだ充分に併行していなかったためと考えられます。
健常者である会社の人達との話し合いも食道発声としてもペースを守らなくてはなりません。
(4)対策としましては、上体は全くリラックスした状態で発声する。その際、気管孔を通しての呼吸はむしろ抑制しつつ行うこと。ただし呼吸を止めてはいけません。
そして前述しましたように、横隔膜より上方は一つの円筒と考えて、他のところには力をいれず、ただ腹圧をかけるだけで声を出すことを心がけて練習します。
会話のペースに注意、こうして疲れることも、気分の悪くなることもだんだんとなくなります。
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