気管孔に血痰がからみ苦しい

 気管孔に血痰がからみ苦しい、こんな時どうすればよいのでしょうか。

(「こえを、いまひとたび」から)

 素人療法をやらないで、すぐに医師の治療を受けて下さい。
この質問の答えの前に、次のような患者さんのような実例症状、経過についてご紹介しましょう。

66歳男性、約3年前、喉頭手術を受けた。私は今年の1月頃風邪をひき38度の発熱、気管孔より粘い血痰が出るようになった。その日の夜になって呼吸が苦しくなり一睡もできず朝を迎えた。
早速医師のところへ診察に受けに行ったところ、気管より出血して血液の固まりが気管の一部を閉塞していたからといって、長いピンセットでこれを取り除いて安心して帰った。
ところがその日の真夜中になって再び呼吸が苦しくなり、意識がもうろうとなったので大騒ぎとなり大学病院に救急車で入院した。点滴をおこうやら酸素吸入をつづけ、苦しくなると吸引器の先に長いゴム管をつけたもので血液の固まりを除き、あらゆる手当をしてもらった。
入院1週間後に気管の出血もとまり、ようやくホッとすることができた。冬の風邪は無理をしないように充分注意して、2度とこのようなことのないよう祈りたい。

 空気の乾燥した寒い1〜2月のころ時々起こる病気ですが、前述の症状経過を読んでみると、この病気の恐ろしいことがわかります。
つまり、風邪をひいて発熱すると、抵抗力が衰えて外気に露出している気管の粘膜に細菌がくっついて炎症をおこり、赤く充血し出血しやすくなり血痰がからむからです。
インフルエンザなど全身症状の重い場合は突然大量の気管出血がおこり、気管が塞がって窒息しするという不幸な事態が発生したと書いてあります。
このような症状が起こったときは、まず医師の診察を受けることが先決ですね。そして抗生物質や消炎剤、止血剤の服用、また気管孔よりステロイドホルモン、抗生物質、血管収縮剤などのふくまれた液で吸入療法を受けます。
再出血をおこらないように安静にして、大事にいたらないようにすることが肝要ですね。