喉頭摘出後に一番心配なことは、気管孔(のど穴)の小さくなっていくことですね。手術後は、鼻や口の方へ空気がかよわないでももっぱらこののど穴で呼吸しています。
従って、首を強く絞められても呼吸はできますがのど穴がつまったらたちまち窒息してしまいます。ここが段々狭くなることは皆様方にとって一大事です。
特に風邪をひいた折りに呼吸が段々苦しくなって、ちょっと痰のかたまりがつまっても大変困ります。ではその原因はなにかといいますと
(1)体質的なもの
(2)手術的条件が考えられます。
(1)につきましては、体型がし万していて頸部の太く首のみじかい人、そして傷口のはんこん収縮のいちじるしい人におおくみうけられる傾向にありますね。
(2)に関してましては、摘出部位が大きく、つまり頸部を広範囲に切除したために気管孔を造るのに必要な皮膚が不足してパンパンに緊張したきずあとを残した者に多いようです。これに反して、気管孔周囲の皮膚に余裕をもって造られている場合には、孔はほとんど小さくなりません。
のど孔が狭くなった人では、約1年くらいやわらかなビニール製のカニューレを孔の大きさに合わせて装着して、それ以上狭くなることを防ぐようにしておくのがよろしい。
ご質問のように、のど孔の大きさが鉛筆の太さぐらいに小さくなってきた場合には気管孔開大手術をして孔を大きくしなくてはなりません。
しかし、一般的にいって、気管孔をひろげる手術は、特別の場合を除外して1年以内に行わない方がよいと思います。
それは再手術にまた狭くなることがありますから。
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