痰が詰まり呼吸が苦しい


  入会 R1-9  88歳  (単純喉摘・シャント) 
   @ 痰が詰まり呼吸が苦しく死にそうになったことがある。
このような場合、どう対処すればよいか?
   A 肺マック症の持病がある。どのようなことに気を付ければよいか?
   B 痰が常に出るので、人工鼻のフイルターに痰がつき、人工鼻の取り換えが他の人よりも多い。
痰の処理に困っている。
   C 排便(便秘)に困っている。他の人はどうしているのか聞きたい。

(令和5年:神奈川銀鈴会会報50号)

顧問回答;
痰が詰まり呼吸が苦しそうということですが、これもベースにあるのは、気管支炎の問題です。
気管の乾燥が気管支炎を悪化させ、痰が硬く、多くなるとことが考えられます。
加湿、頻回のネブライザー、水分摂取で気管支を保湿することが大切です。
肺マック症というのは肺非結核性抗酸菌症という病気で、抗酸菌というのは肺の中にいる菌で、結核菌も含 めて肺の中にゼロという方はいないと思います。
それが病気として発症してくるのは結核菌に対する免疫反応が落ちて結核菌が増えるか、過剰な炎症反応を起こすかによります。
過剰な炎症を抑える薬として抗アレルギー剤である抗ヒスタミン剤とか抗ロイコトリエン剤があります。
これらは喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に使う薬です。
これらの薬を服用すると気管の炎症が減ってきます。
抗酸菌が増えすぎた場合には抗酸菌を減らす薬を使用する必要がありますが、
抗酸菌をゼロにする発想ではなくて、いかにそれと共存していくか、それに対して過剰に反応しない自分の体を作っていくのかが重要となります。
人工鼻のフィルターに痰が付くというのも、人工鼻で加湿することで普通は痰が減ってくることが多いのですが、 人工鼻をつけても痰が多くなるのは気管支炎がコントロールされていないことが大きいと思います。
排便困難の問題は、喉頭摘出後はいきめないのでどうしても便秘かちになるのは皆様ご存じだと思いますが、水分摂取量が減ってくることも原因となります。
排便は毎日続けることが重要です。排便の多くは腸内細菌の死骸なので、これは外に出さなければいけません。
だから食べる量が少ないから排便しなくていいということにはなりません。
私は便秘の方には便をやわらかくする酸化マグネシウムを処方しました。
緩下剤の内服で下痢することもありますが、緩下剤の量を上手に調節しながら毎日の便通を確保することが大事です。

(専門医)