入会 R2-11 64歳(単純喉摘) 嗅覚:匂いがわからない。 鼻水が喉に流れてくるので、沁みる感じが続いて時には痛みもある。 蓄膿症(副鼻腔炎)との関連性は? 特効薬はあるのでしょうか?? うがい薬で緩和等々か? 【逆流性食道炎】と診断され、処方薬を服用していますが、今でも稀に胃酸が口元まで逆流することがあります。 食道発声を練習する事によって起こることでしょうか? 我々喉摘者に起こる特別な症状でしょうか?? (令和5年:神奈川銀鈴会会報50号)
(令和5年:神奈川銀鈴会会報50号)
回答: 嗅覚、においが分からないと質問です。 これは喉頭摘出により空気が鼻を通らなくなるために、においのもとが鼻の粘膜にくっつかなくなる問題です。 味覚も嗅覚と密接な関係がありますから、においが分からなくなると、味覚も落ちてきます。嗅覚障害、味覚障害は食事の楽しみを少なくします。 食道発声で空気を飲み込む練習をすると空気が少し鼻を通るようになり、食道発声が上手な方はにおいがわかるという方もいらっしゃいます。 においが分からない一番の問題は、ガスもれに気がつかなくなることです。 ガス会社の方に聞くと一酸化中毒の心配はないそうです。しかし火災の危険は残ります。 火災を防ぐためにガス感知器の設置をお勧めします。 蓄膿症による鼻のポリープや、鼻の中の粘膜の腫れによる鼻つまりは鼻の粘膜に接着するにおいの物質の量を少なくします。 もう一つの嗅覚障害の原因は、炎症により活性化したリンパ球がにおいを感じる細胞の周囲の細胞を攻撃して、それが嗅覚神経の傷害をもたらしにおいを分からなくすることがあります 。それがコロナ感染の嗅覚障害の原因とされています。ステロイドの点鼻は炎症を抑えるので嗅覚障害を軽減します。 コロナ感染の嗅覚障害でなるべく早い時期にステロイド点鼻を開始すると嗅覚障害が早く回復することから、ステロイド点鼻が推奨されています。 海外では蓄膿症に安易に抗生剤を使用することは推薦されていません。抗生剤を使っても完治率に差がないからです。 アレルギー性の鼻炎による蓄膿症が増えてきたために、鼻の中の炎症を引き起こす要因を少なくして、炎症反応を軽減する治療が推奨されています。 鼻うがいは鼻の中を常にクリーンに保ち有効な治療です。 鼻の粘膜にウイルス、花粉の受容体があります。 それらが鼻の粘膜にくっつくと鼻からサイトカインという炎症を引き起こす物質が分泌されます。例えばウイルス疾患では鼻が詰まって 、鼻水が出て、喉が痛くなって、咳が出ます。 それらは鼻から分泌されたサイトカインで活性化されたリンパ球が鼻、喉、肺に誘導され炎症を作ってウイルスを攻撃するという正常な免疫反応による症状です。 だいたい7日から10日でウイルスは免疫反応で始末されます。 ウイルスがいなくなるとサイトカインを出す必要がなくなるので炎症がおさまり症状は軽快します。 ウイルスの攻撃は白血球を中心に行われます。風邪の最後にウイルスと戦った白血球の死骸である黄色い鼻水や痰が出てよくなります。 蓄膿症は上顎洞といって頬っぺたの中に鍾乳洞のような空洞があります。その他にも、篩骨洞、蝶形骨洞、前頭洞という鍾乳洞もあります。 それらを総称して副鼻腔といいます。そこでもウイルスと白血球が同じ戦いをしています。鼻の中にこれらの鍾乳洞をつなぐ小さなトンネルがあります。 そのトンネルから鍾乳洞の中の白血球の死骸を鼻に出します。つまり鼻の中はそれらを排出する下水道です。下水道はいつもきれいにしておかないと流れが悪くなります。 そこで鼻うがいが有効となります。鼻の粘膜が炎症で腫れるとトンネルが塞がってしまいます。そうすると白血球の死骸が鼻に排出されずに副鼻腔に溜まってしまいます。 鼻の中にはたくさんの細菌がいるので、ウイルスではなく細菌が増えると蓄膿症と診断されます。 抗生剤を使うと一時的に細菌の量が減るので
入会 R2-11 71歳 咽頭(シャント) @ 透明でドロッとした鼻水が頻繁に出る。特に左側が多いが原因は?? A 気管壁が荒れて出血がある?乾燥の影響か?ネブライザーで緩和する? B ネブライザーの使用水は、市販のペットボトル飲料水でも良いのか? 水質の影響は? (令和5年:神奈川銀鈴会会報50号)
顧問回答; 透明でドロッとした鼻水が頻繁に出る症状はアレルギー性鼻炎の可能性があります。 抗アレルギー剤の内服で良くなることがあります。 年取ってくるとどうしても鼻の分泌物が増えて食事の時に鼻水が垂れる方がいらっしゃいます。 温度の変化や湿度の変化に過敏に反応して食事の時に鼻汁、唾液の量が増えるのは一種のアレルギーの症状と考えください。
(専門医)
食道発声法/ 神奈川銀鈴会