代用音声の種類
喉頭障害をおこした人や、喉頭ガンなどで喉頭を全摘出した人は、音源機構である声帯を失ってしまうため発声が不可能となる。
音声は人間にとって非常に重要なコミミュケーション手段であり、それを失うことは不便であるばかりでなく、多大な精神的苦痛を伴う。そこで発声機構の再構築のため、様々な代用音声が考案され実用化されてきた。
これら代用音声のうち器具を用いるものを人工喉頭という。
パイプ式人工喉頭(器具が大きい)
気管孔と口とをパイプで連結する。パイプの中は代用声帯となるゴム膜が入っている。
長所:音声は明瞭、習熟は容易
短所:器具が見える、片手が取られる
パイプ式人工喉頭
電気人工喉頭(音声が平板単調でブザー音が弱点)
どんな人がこの発声器を選択するか
喉頭摘出者の人たちの中には、時にこういった方がおります。
食道発声の練習をやれといわれ、これを重ねれば重ねるほどカニューレの動揺に よって気管孔(のど穴)が刺激されて痛み、このためにしばしば発声練習を中断しなけ ればならなかった。
また人工喉頭を使って練習してみたが、やばり器具の装着の際に、カニューレが動揺し、 気管孔の刺激のために咳がでて、発声練習もすすまない
老衰のためか、食道発声の練習がすぐつかれてしまって、 どうもものになりそうにもない。また人工喉頭も、 振動ゴム膜の調整が根気がつづかない。
そこでこの発声器を手がけたのだが、何よりも便利なことは、気管孔と無関係に練習ができるので嬉しい。そして練習の工夫と努力はいるが、肉体的につかれないとい う長所があります。
発声器の使用法どその要点
発声法の原理
発声器のポタンを押すだけですと、ブザーのような音がジージーと鳴る仕組になっていまず。つまり人工喉頭のように、肺からの呼気を用いないで、器械の電磁気的作用によって音がでます。この振動子をのどの皮膚に密着させ、体壁内に伝導し共鳴させて音源とします。発声器の種類と価格
(1)種類
ユアトーン(国産品)98,000円
使用感:(掲示板より;北鈴会:K指導員より)
従来、電気発声器といえば外国製品ばかりでしたが、今年の4月に国産第1号が発売されました。この発声器の特徴は、イントネーション(抑揚)のある発声ができることです。 私はこの発声器を手にして日も浅く、まだまだ使いこなすまでに至 っていませんが、私が使用した感想を記載してみます。
呼気発声
この呼気発声法がユアトーンの特徴で、呼気センサーを気管孔に当て、気管からの呼吸の強弱を捕らえて抑揚のある発声をしようとするものです。
この発声法も、従来の電気発声器の発声法と同様に、手術直後で、未だ手術の班痕が残っている方の使用は難しい。
複雑な手術を受け、気管孔が変形したり、奥まったりしている方は、呼気センサーを気管孔に当てがうのが難しい。
呼気を利用して発声するからといって、肺呼吸で調整しながら発声しようとすると、音程がばらついて会話にならない。
この発声法を習熟するには、食道発声と同じく腹式呼吸に徹することが不可欠であり、下腹に力を入れて発声することにより、メリハリのある発声が可能となる。
抑揚があり、従来の電気発声よりメリハリのある発声ができるとはいっても、まだまだ機械音である域を脱しておらず、これからの改良、開発、研究が強く望まれる。
歌モード発声 これは、電気発声器のカラオケのようなもので、予め記憶されている曲のリズムに合わせて発声することにより、音階のとれた歌を唄うことができます。 この機能は、発声訓練に直接関係するものではありませんが、楽しく発声器に馴染むために有効で、私たち喉摘者の「気晴らし」として、また、宴会などの「隠し芸」として活用できると思います。
一定音(従来機能)発声 従来の外国製の電気発声器と同様に、ボタン操作で発声することもできます。 音質、音性は、ゼルボックスとニューボイスに近い音ですが、ボタン操作にやや難点がある。
以上を要約すると、初めて電気発声器を手にする方には、この発声器の特徴である呼気発声はチョット取っつき難いようであるが、従来の電気発声器に習熟し、これに物足りなさを感じている方は、是非、一回は試して見る価値があると思います。
仕様
外形:本体(円筒形)
径最大35mm
長さ最大118mm
- 重量:約150g
ここに、北鈴会のK指導員によるユアトーンをつかった発声音を紹介します。
電動式人工喉頭「マイボイス」
特長 自然発声に近いイントネーション。アンプリーゴード(イタリア製)72,000円
ゼルポックス〈ドイッ製)92,000円
ニューボイズ(アメリカ製)72,000円
工ポックス(イタリア製〉72,000円
発声器の故障・修理の方法
故障の内容によっては発声指導員で修理できるケーズが多いので、故障が生したら、先ず、発声指導員に相談してその取扱方法仁ついて指導を受ける。
補装具として給付される電気発声器は、耐用年数が5年と定められており、5年間は修理をしながら使用することとなっているので、市町村担当者にその取扱について相談する。
修理完了後に市町村に修理申請をする場合は、修理見積書及び修理部品を市町村担当者に提出する。
発声器に使用する電池
使用する電池は、市販の使捨電池も使用出来ないことはないが、発声器の故障の原因となることもあるので、専用電池を使用するよう心掛ける。充電式の専用電池は、必ず、完全に使いきってから充電すること。やたらに途中で充電すると約300回位とされている電池の寿命がそれだけ短くなるので注意する
■発声補助装置
音声拡声装置で「ビバ・ボイス」(viva voice)という製品名。
特徴
- 右の写真をクリック
- 食道発声ができなければ使用できません。マイクの小型版と思ってください。
- 声の大きさは10倍にしてくれます。
- ハウリングなし。
- 重量260g
大きさは151mm(H)×84mm(w)×30mm(D)- 形態
ハンドマイク+耳かけマイク+スピーカー
- 1セット¥27,000円
- 販売元:社団法人 銀鈴会。 製造元( アシダ音響株式会社)
使用感
銀製の箱で手に待った感じは軽い。ワイシャツの上ポケットに窮屈だが入る。
そこからマイクを通して話をすると見栄えではそんなに違和感はない。 音は3段階に分かれていて手軽に調節が出来る。
音質はまぁまぁ良いが、時々音がとぎれるのが気になる。
雑音はいっさいない。道路で話をしていても通じる(5m位までok)がちょっと勇気がいる。
マイクは小さくまた感度も良い。値段はちょっと高い。
改良点としては、
スイッチの場所を使いいやすい所に、そして一カ所に集中してはどうか。
箱の大きさはもう少し小型にする。スピーカとのかねあいもあるが音を少々犠牲にしてでも箱の大きさを小さくしてもらいたい。
機能面等を考えて価格は高い。(喉摘者だけでなくいろんな方面に使えるのでさらに宣伝をして価格を安くしてもらいたい)
耳掛けのマイクは不必要
比較表
食道発声法 人工喉頭 電気式発声法 シャント法 普通会話の出来る期間
1〜2年 7〜14日 5〜10日 音量
△ ◎ ○ ○ 音質
肉声 最良 機械的 肉声 手の使用
不要 片手 片手 片手 音声持続
短 長 長 長 便利性
◎ × ○ △ 外観(体裁)
◎ × ○ △ 清潔度
◎ × ○ × 普及率
90% 5〜10% 10% 価格
不要 4〜5000円 72000円 不要 音源
食道の空気 肺の呼気 電池 肺の呼気 原音発声部位
仮声門 笛のゴム片 振動子 仮声門 手術内容
通常の喉摘 同左 同左 喉頭+バイパス 体力消耗
大 中 小 中
昭和59年では食道発声は85%、電気喉頭器は10%、その他は5%であった。最近ではほとんどの人が食道発声を行っている。
■発声補助装置
音声拡声装置で 「ハンズフリーマイク」という製品名。
音はなめらかであり、なんと言っても値段が安い。もちろん持ち運びに大変便利である