会話を上手にするには? |
会話は出来るだけ短く区切って、空気の補充をしながら力のある声で明確に話をすることが必要です。 人によって差はありますが一般的には語尾まで完全に喋るには5〜7語程度がよいと思います。そして、 接続詞のところで確実に空気を呑み込んで充電することがポイント。 (術後1年目) 朗読するときは句読点まで区切りません。この方法がよいかどうかはそのうち結論を出します。 (術後1年3カ月目) 段落の所でしっかりと空気を取り入れて、それと同時に気持ちも落ち着けることです。 (術後1年4カ月目) ラジオ、テレビのアナンウサーの話し方はとても参考になります。決して急いで話していません。ゆっくりと区切りをつけて発声しています。 (術後2年目) 相手に対して、自分の言葉が正確に伝えられることに心がけます。それには句読点まで無理してつなげないで7〜8文字に区切って話をします。 |
連続会話中に、なんとなく低音になったり、声が詰まって発声が止まる事があります。 |
・空気を食道内に深く吸入しないで、むしろ浅く呑んで空気の出し入れの操作を早くすることに努め る。 ・万一食道内に空気が溜まって発声に支障をきたすことを知ったら、会話中に自然に抜く方法を考えるこ と。例えば話の息継ぎ目で空気を抜いて再び新しい空気が入りやすい状態を作る。 (術後9カ月目) 私はまだできません (術後2年目) まだできません ・会話中、話がとぎれないようにするための総合的手段の訓練には歌の稽古 をすると効果がある。それは空気が完全に吸引したり吐き出す手段が歌を唄うことによって勉強できる。 ・できるだけ高い調子で喋ると良い。 (術後9カ月目) どんな方法でやれば 良いのか分かりません。 (術後1年目) 腹圧だけで発声しないで、喉に空気を残すようにして発声すると高音が出る。 |
上達するには向上心を持つことが大切です。 |
上手な人とよく話をすることです。そこでの口の動き、間のとりかたなどを自然に覚えていきます。すこしぐらい上達したからといって発声教室から離れていってはそれまでです。上手な人と会話をすることによってすこしずつ会得していきます。 (術後1年5カ月目) 大切なことは、そこで発音の稽古をするのでなく上手な人の発声法を見て聴いて刺激を受けることです。そしてやる気を持つことだと思います。 |
これはむずかしい |
「きん」「ぎん」の発声音を相手が分かればかなりの上達者です。 参考:「き」と「ぎ」の区別(その1) (その2) (術後1年7カ月目) まだできません。 |
食道発声の会話をする際に、声を鼻にぬくと、きれいな声にきこえると聞きましたが、どのようにすればよいのでしょうか。 |
背筋をキチンと伸ばして正しい姿勢をとり、呑み込んだ空気を食道の上方、上アゴの奥のところにぶつ けるような気持ちで腹圧をかけて発声する。喉の奥の上方から鼻に空気を抜くようにする。 発声練習の初期に「ア」とだす音は、食道入り口部の粘膜襞からでています。したがって、はじめは「ゲップ」のような暗い音ですね。だんだん上達するにつれて、この音を上あごの奥の天井、つまり鼻とのどの境にぶつけるようにやってみます。 上の方で響く反響音は食道入り口で発する音よりも口や鼻へも近く、そのぶんだけ発声のおりに響きがあり大きくなります。 同時に、鼻の方へも軟口蓋(のどちんこのある部分)を下げるようにして呼気を通すよう試みて下さい。 鼻の方へ空気が抜けているかどうかは自分では分からないことがありますので指導員に聴いてもらうことが大切です。 また。上記のことをやるにはうがいの練習がかかせません。口の中に含んだ水を「ゴロゴロ」とやるためにはこの水を押し上げるための空気が必要です。 空気を鼻から吸引できなければうがいの動作は出来ません。 こうした練習をいているうちに鼻の中に空気が流れが通過している感覚がつかめます。 この感じをしっかりと覚えておいて、発音の時に逆流した空気を鼻の方へすすませます。適当に鼻へぬいた音声は、耳に響き良く聞こえ歯切れの良いさわやかな声に聞こえます。『以上「こえよ、いまひとたび」という本から抜粋しました』 |
「ん」の練習方法について教えて下さい |
鼻から音が出ると明瞭な音になります。ためしに、鼻をつまんで発音してみると分かります。そのためには鼻から大量の空気を出さなければなりません。 丁度、冬の寒い時期に鼻、口から息を吐くと白い湯気のようなものが出ます。それが出来るように練習をするのです。その練習法として「ん」の練習が最適です。 つまり、大きく空気を吸い込んで口を閉じます。そして「ん」と発音して鼻から空気を出します。 なかなか難しいですがこれが出来ますと明瞭な音になります。 |
「ハヒフヘホ」が上手に発声できません。その発声法を教えて下さい。 |
ハヒフヘホと発音したつもりでも相手には「アイウエオ」また人によって「カキクケコ」と聞こえてしまいます。たとえば、ハンカチはアンカチ、ヒカリはイカリになってしまいます。 「は」の発音は、口を「あ」の形に構えておいて、食道へ少したくさん空気を吸い込んで、お腹に力を入れつよくはやく押し出します。何回も何回もやっているうちにだんだん「ハ」になってきます。 「は」行発音の便法として次のやり方はどうでしょうか。上側の前歯に下唇を軽く当てて「ハヒフヘホ」を「ファ(fo)フィ(fi)フゥ(fu)フェ(fe)フォ(fo)」と発音してみます。 下唇の接触はくれくれも軽くして下さい。言葉によって大変に具合のよい場合があります。例えば「一、二、三、四」(ヒィフゥミィヨウ)を「FI,FU,MI、YO」と発音してみて下さい。 それから古川(フルカワ)さんを「FU、RU、KA、WA」さんと発音してみる、発音になれて要領をつかむと充分に理解されます。いろいろと工夫をしてみて下さい。 |
私は、食道発声を習ってかなり上手にお話が出来るようになりました。しかしこの声は低い太い声で、男性のそれと少しもかわらないのでがっかりしています。どうしたら女らしい食道音声になるのでしょうか |
声をできるだけ高い調子にすること。言葉を使い、手振り、心のこもったお話ぶり。 情勢は感性的に男性より一層情緒的ですので、食道発声が男性と同じ低い声だということを非常に嫌います。そして人前で喋ることにひどく抵抗を感じます。 女性として低い声は、男性と比べてより一層不利な立場におかれると考えがちですね。しかし努力することで、すこしでも女らしい声に近ずくことができるのです。 まず第一に、食道音声そのももの声の高さを上げること。それは、原音を出したらこの音を咽喉の一番bニころ、つまり鼻の最も奥の場所にぶっつける。そして空気を鼻のほうにぬいて声をきれいにすること。 この練習ですこしでも高い調子でお話するように努めること。 第二に、会話をする折りには、相手は必ずこちらの目をみるので、顔の表情を努めておだやかにやわらかく、手振りを十二分に使ってお話を弾ませ、楽しい雰囲気のもとにすすめること。 第三には、女性らしい思いやりをこもったやさしいことば使いをすることですね。たとえば、「わたくし」「はい」「いいえ」「あなた」「いただきます」「いらっしゃいませ」「失礼します」「ごきげんよう」「どうぞ、そんなにお気を使わないでくださいね」・・ただし、あまり「サイザンス」などの「ザアマス」調はいただけませんが。 昭和57年に東京で行われた喉摘者世界大会のおりに、アメリカの一婦人が”声の低いのがいやですが、押し売りを撃退するのに大変便利ですたよ”と明かりユーモラスに話されたのが印象的でした。 この婦人のようにあまり深刻にならないことです。要するに、相手に対して心のこもった会話に心がければ、決して食道発声を使うことでマイナスと言うことはありません。 |
食道発声の会話にアクセントが非常に大切ですといわれました。アクセントの重要性について、分かりやすく教えて下さい。 |
アクセントは文章の中のメリハリ(抑揚)をつけ、話の内容を理解しやすいものにします。 アクセントのちがいで意味の全く違う場合があります。 アクセントとは、分かりやすく言えば単語も意味を表すための音声の高さ、または強さの社会的な約束です。あるところは強く、あるところは弱く、またあるものは高く、あるのもは低く発音して言葉の意味をはっきりさせるためにきまっているひとつの音声上の習慣ですね。日本語の例を挙げまてみますと、関西弁と関東弁との違い、鹿児島と東北地方でアクセントに著しく違いがあります。 しかし、ここではアナウンサーたちの採用している本来の標準語についてのべます。いま英語の辞書をひらいてみますと、それぞれの単語に必ずアクセントの記号が記入されています。たとえば次の言葉のアクセントの違いを考えてみましょう。 オブジェクト(目的語)、オブジェクト(反対する)、レコード(記憶)、レコード(記憶する)。というようにその意味が全く違ってきます。アクセントの重要なことがあわかりと思います。さて日本語のアクセントにはいろいろのタイプがあります、分類してみますと、 1.平型(中、中、中)、ながあめ、さかな、かぼちゃ、とまと、など 2.高低型(高、低、低)、野原(のはら)、関東(か、京都(きょうと)など 3.低高型(低、高、高)、ちから(力)、明日(あした)、瓶(かめ)、足(あし)など 4.低高低型(低、高、低)、朝顔(あさがお)、卵(たまご)、朝日(あさひ)など 日本語でも同じ言葉で、アクセントの違いにより全く異なった意味になります。 1.神(カミ)も仏もない、紙(カミ)より薄い人情 2.鶴(ツル)が蔓(ツル)に足をとられた 3.亀(カメ)を瓶(カメ)の中に入れることは無理だ 4.酒(サケ)の肴に鮭(サケ)の切り身 5.父さん(トーさん)がやめて、会社が倒産(トーサン)した 6.この道(ミチ)は未知(ミチ)の世界につづいている 7.蜘蛛(クモ)の巣の向こうに、雲(クモ)が白い 8.今日は晴れ(ハレ)、しかし私の目は腫れ(ハレ)ぼったい 9.あの人の意志(イシ)は、石(イシ)のようにかたい 食道発声は低音でアクセントに乏しいといわれていますが、強く高く発音するためにはお腹にぐっと力を入れ、声の出る場所にもちょっと力をこめる要領でやってみてください。 上達された人は、アクセントをうまくつけて話しています。 |
食道発声とはとかく声が小さいので、しゃべり方が一本調子になりやすいと言われています。どのような注意ですこしでも理解されやすい話し方になれるのでしょうか。 |
「声には個性がある」と昔からいわれています。食道発声に上達された人達のどの声を聞きましても、それぞれに独特のニュアンスを持っています。 声を聞いただけで、ああ、あの人かとすぐその人のお顔が浮かんでくるほどですね。 さて、この立派な声をどのように話すことによって、より一層の理解が得られるか、つまり感情を充分に表現出来るようなしゃべり方についてお話ししましょう。お話の仕方によくイントネーションという言葉が使われます。 イントネーションとは、言葉の調子の変化を言います。つまり話をしている言葉全体の音声の強弱、高低明暗、速さの度合いやその変化(緩急)および話の間(マ)づくりというものをさしています。これとは逆に、お弔いでのお悔やみの言葉では暗い弱いことば、低い調子の言葉をつかいます。 「いらっしゃい」「やあしばらく」「ようこそ」の短い言葉の中に「そのごどうしておられるか、心配していましたよ」の意味がこもっているのです。 ここで、イントネーションの諸要素としを分析してみます。以下のabcdeの例文は、今泉氏の「ことばを美しくするために」より引用しました。 a.発声を適当に高めたり、弱めたり 例、院長の人格に、絶対的にたよっているのですからね b.音声を強めたり弱めたり、語気の変化に意味合いがちがうこと。 例、私は誠と結婚なんかしたくありませんよ c.音声を伸ばしたり縮めたりして、テンポを変化させる。 d.音質(音色)を変化させる。 例、こいつは、何かっというと、僕の所にきて、ねえ、あなた、どうしましょうというのだ。 e.話の区切り、間(マ)と呼ばれるもの 間というのは、ただしゃべらない時間ではありません。「だまっている間の話し」といえるでしょう。それには 1.意味の自然な切れ目に出来る間 2.聞き手に気を持たせるための間 3.話の内容を聞き手の頭の中で整理させるための間 この技術がなかなかむずかしいものですが、上手な人のお話しぶり、テレビにでてくる人達の話を聞いているうちに「ああ、ここだな」と会得してください。そして自分でも、いつも話すときにこころがけてください。 新劇で名優の誉れ高い山本安英さんが、次のように語った言葉が印象的でした。「わたしが、もし、こんにち、みなさまに上手だと思われる点があるとすれば、ふだんからわたしが勉強している「マ」のおかげです」。 イントネーションの勉強には、詩の朗読とか、文章の朗読を練習するのがよいと思います。 食道発声の最後の締めくくりは、このイントネーションの会得です。どうぞしっかり研究し努力して下さい。 |
食道発声の上達は、練習と理論との両方を平行して勉強をしていかなくてはなりません。それとなにより大切なことは、自分の声を好きになることです。 |
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世間一般に通用するような自然な発声をすることを目指し、神奈川銀鈴会の最上 級クラスの一員として恥ずかしくないだけの、力強い食道発声の技量を習得するように努める。そのために練習はただ漠然と声をだすのではなく、常に以下こ示すような 占に留意し、意欲的に取り組むように心掛ける。(神奈川銀鈴会F指導員) |
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