アジア連盟の活動
1997-4-1〜1998-3-31
アジア連盟第14回常任委員会および第12回臨時総会報告(S・Sより)
今年、カトマンズで開催された常任委員会の概要をご報告いたします。
- 開催日時 1998年2月7日(土)午前9時〜
- 開催場所 カトマンズヤクヌティホテル
- 出席者
会長 | 中村正司 | 日本 |
副会長 | k・k・ナイヤー | マレーシア |
常任委員 |
b・m・アブロール | インド |
韓徳民 | 中国 |
徐茂銘 | 台湾 |
M・ジャリン | パキスタン |
N・クナラトナム | シンガポール |
L・N・プラサド | ネパール |
W・I・ウエイ | 香港 |
専務委員 | 久永進 | 日本 | |
通訳 | 郷農彬子 | 日本 |
オブザーバ |
ラケシプラサド | ネパール |
ハワード・E・モーア | アメリカ |
- 閉会及び挨拶
- 久永委員が開会を宣言
- プラサド委員から開催国を代表して歓迎の挨拶があった。あわせて、昨年10月1日、同委員会が東京で、ヘレンケラー協会からヘレンケラー・アン・サリバン賞を受けたことの披露と感謝の辞が述べられた。
- オブザーバを含め、全員が自己紹介を行った。
- 会長より、開催国の歓待と各委員の参会に対し感謝の意の表明があった。さらに議事に先立ち、次の通り所信表明があった。
- AFLAは第3次5カ年計画の成熟期にある。経済不安や通貨危機など情勢の悪化に対処の方法を検討願いたい。
- 創立13年、食道発声指導の成果は確実に実っている。培ったものは大切に育てたい。
- 開発中の発生補助装置が1年後の1999年から実用化できる。
- 第3次5カ年計画の最終日に当たる2000年に15年間の締めくくりをしたい。
- 第4次5カ年計画の方向付けの指標のひとつとして「アジア連盟食道発声研修センター」の構想を発表したい。
- 韓国の延世大学でも音程を高くする発声補助装置を開発中であると聞いているが、その成果を期待したい。
- アジア連盟は1997年8月13日付けの書翰で国連経済社会理事会と協議資格を持つNGOとして認定された旨通知を受けた。名誉ともに大きな責任を痛感する。
以上の背景を充分検討のうえ、今後の活動、運営等につき活発な意見交換を行う常任委員会としたい。
- 重原賞授与
受賞者:団体 タイ喉摘者協会(タイ)
個人:プラン・セト(インド)
- 議事
- 事業報告、実績報告、事業計画、予算、第3次5カ年計画の一部修正および次期開催地の議案が承認された。
- 審議の中で討論が集中した案件は次の通りである
- 経済不安による収入減に対処するための予算規模の縮小
- 発声補助装置の完成に備えて、食道発声を中心とした指導技術の強化
笛式人工喉頭の存在がネックになるケースが問題となった。
- 次期開催地
1999年 マニラ(承認がない場合は中国)
2000年 京都
- 各国の活動状況報告
- ネパール
1990年にクラブを結成した。当時は6名でスタートした。現在は40名を越えた。日本へ8名の研修生を送った。帰国後指導に当たっている。カトマンズ以外に住んでいるものは、交通不便のため充分に活躍していない。
1996年から3年間、デンマーク喉摘者クラブから資金援助をうけた。(合計2万USドル)
- インド
昨年、3つの都市で研修会を実施した。AFLAと共催した。270名の受講者があった。ニューデリーを中心にミニキャンプを7カ所で開催し、187名の受講者があった。今年初めてJICAへ研修生を送ることができた(2名)。
年間2回、ニュースレターを発行している。プラン・セトが書き、発行した。電気喉頭を作成し、頒布している。安価なのが特徴(百USドル)
昨年1年間の喉摘者数3300人、そのうち4名は全摘出せず、一部摘出で回復した。
- 台湾
笛式人工喉頭が約半数を占める。この対策に苦慮している。
- 中国
再声会法人設立3周年大会は大成功した。有名人の書いた書や画がチャリティーされ、収益が大きかった。前厚生大臣崔さんの書も売れた。
昨年JICAで訪日した2人も帰国後、再声会のリハビリに活躍している。
現在、登録している会員は600名
- パキスタン
昨年クラブの選挙があり、会長ナジーブ・カーン、事務長ハワード・ギルが選ばれた。
市民病院にクラブの部屋があり、毎週土曜日にリハビリを行う。参加者毎回30名から40名
喉摘者クラブは、カラチに3団体、ラホールとイスラマバードに各1団体、合計5団体存在し、その会員数は全部で約500名。
- 香港
1997年、中国に返還後も特別区域ということで、従来と大きな変化はない。
新声会は、よい声が出る人が志願して、新人の指導にあたっている。自助努力、相互扶助の気持ちが尊重されている。
5年前から毎年、中国本土へ食道発声交流ツワーを実施している。昨年10月、中国の2都市チュンドゥとチオンクイの総合病院を訪問した。
- シンガポール
がん協会と良好な協力関係を維持し活動を続けている。日本でで、訓練を受けた2人と、当時のスピーチセラピストとの共同によって、毎月2回のリハビリを実施している。
- マレーシア
クラブは1985年に発足したが、めぼしい活動はしていない。病院側もエイズや糖尿病対策を優先させ、喉摘者問題は先送りになっている。日本へ送った研修生を中心に体制を整えたい。
- 自由討議
- 新入会員の食道発声を指導する方法を中心に意見交換があった。
- お茶を飲んで、もどす方法で、食道発声のきっかけを掴んでくれれば、来年完成する食道発声補助装置がその小さい声を大きくする。
- 研修センターをインドに作ってほしい
人工が多い地域では普段も有効に利用できる。使用言語の問題から、1カ所では無理かもしれない。
- オブザーバのアメリカのミスターハワード・モーアに発言を求めた。
「AFLAの活動に大変感心しています。私の所属しているIALは、このAFLAにくらべて殆ど国際的な活動をしていません。会の名前からインターナショナルという字を消してしまいたいほどです。アメリカがん協会で喉摘者緊急時の取り扱いについてビデオを持参しました。あとでご覧ください」
以上、本日の討議を終了。議長より会議の締めくくりを行った。忌憚のない意見交換があり、有意義な会議をもてたことに感謝する。次回は、役員改選の年であたる、お考えおきいただきたい。
<平成10年:「銀鈴」第45号より>