喉摘者団体の現状を中心に
(日本喉摘者団体連合会(日喉連)会長(社団法人)銀鈴会会長S.N
)
<音声言語学1999vol-40,no-1より>
喉頭摘出者の発声法は,昭和20年の前半頃,人工喉頭が発表になり少し遅れて「食道発声法」が発表されて,全国的に普及した。
昭和40年代には欧米の電動式人工喉頭が現れて,発声が容易な点でかなり普及をしている。
こうした中で,中心的な発声法としては「食道発声法」が重視され,普及率は80%に達している。
- 日喉連の現況
- 日喉連は昭和45年に設立され,現在,59団体,登録会員約9000名が加入しており,資料
1に示すとおり全国を7ブロックに分け,本部は東京に置いている。
- 各団体は,週1〜3回発声教室を開き,会員の中から適格者を指導員に選び,食道発声を重点に訓練して,成果を挙げている。
- わが国の「食道発声法」の普及と経過
- 昭和29年に発足した銀鈴会は,発声指導の中心を「食道発声法」におき,一貫して研究と訓練を続けた結果,食道発声の指導的役割を果たしている。
- 昭和30年代には全国的に発声団体が設立され,昭和45年の日喉連の設立につながるが,この問,「食道音声言語医学発声法」を中心課題とした。
- 行政の指導と日喉連の活動
- 厚生省は、喉摘者の社会復帰を計るため音声機能の回復を重視して、昭和
48年「食道発声訓練事業」を制度化して、各県に発声団体の設立を助成した。
- 昭和63年には食道発声指導のため「発声指導員養成事業」を制度化して,各ブロックごとに2泊3日の研修会を毎年実施することを決定した。
現在,全国の指導者約350名が毎年参加して,発声技術指導50%,医療指導30%,福祉指導20%の比率で研修している。
- 日喉連活動の今後の目標
- 食道発声の第1歩である原音発声を短期・簡便に出す「お茶のみ法」を中心
に指導する。
- 声を拡声する「発声補助装置」(平成11年完成予定)の効果的な使用法を指導する.以上の2点により,「食道発声法」で誰もが会話して社会参加を果たすことを目指す.
- NPO法の施行に伴い法人格を取得して,日喉連の社会的評価を高める。