<98年10月01日>
基本に戻ろう
(術後2年3カ月目)
最近、話が少し出来るようになってきた。
そのため、言葉が少しずつ早くなってきて、私の声は必ず相手に通じるものだと思い込みが多くなってきた。
その結果として語尾が掠れ、また長い言葉を一気に話してしまう癖もついてしまった。
発声にとって一番大切である「短く区切って話す」ことを忘れてしまった。
無理して早く話す癖をなくそう。きっと健常者の言葉につられて早く話してしまうものと思う。
発声教室で1年半前に指導員から教わった「君はもう早く話すことができない」という教えを思い出した。
気をつけよう!。そして言葉を大切にしよう。
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<98年10月07日>
電話で最初の一言
電話をかける機会が多くなってきた。電話は拡声器だと思っている。また、ずいぶんと性能よくよく、そのため、私の声がわかるらしい。でも、通じない言葉もある。
特に、初めての人には、「言葉が不自由だからよく聞いてください」と最初に一言をいうことにしています。
それだけで、ずいぶんと聞き違いが少なくなることを実感している。
今日は、5件電話で応対をした。
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<98年10月12日>
告別式の挨拶
父が3日前に老衰で他界した。その告別式の挨拶を頼まれたので、いいチャンスだと思って引き受けた。
普段使っているマイクより性能がよく、どんな小さい音でも拾ってくれる。なおかつ周りの雑音が、マイクに入らない。喉摘者には、とてもよい条件である。
また葬式ということで、ゆっくりした口調が必要である。そのような条件の中で告別式の挨拶をした。
一言一言、味わって話をし、短く区切ってそしてゆっくりと低音で、話をした。何とかなるものである。あまり長く話せないので、要点を絞った。
周りからは最初、不思議な声を出す人と思われたみたいで、真剣に聞いていたのがよくわかった。
大成功である。自信もついた。それまではちょっと不安であったが今後、この自信がきっと役に立つと思う。
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<98年10月18日>
やる気を得る
久しぶりに4階のロビーに休憩を取りに行った。そこには、いつも教室で会っているWさん(77歳)がいた。
彼は、上級教室でいつもF指導員から厳しく注意をされ、指導を受けている。その彼が、発声教室の始まる前に一生懸命に練習をしていた。
そして、そこで教えていたMさんが「ア」「ア」・・の単音の発声を1日に少なくとも200回から300回は繰り返し練習するように、彼にいっていた。彼は「うん」「うん」とうなずきMさんの教えに従っていた。
こんなに高齢になっても向上心を失わないで、不断の努力をしている姿に感服した。
それと同時に、発声の稽古に、私はさらなるやる気がでてきた。
1年後の目標は、F指導員並に話ができることである。
休憩時間にWさんと話をした。なぜか彼が輝いて見えた。彼より若い私は、もっともっと発声の稽古に力を入れなくては思った。
何しろ食道発声は、やればやるほど難しいのだから。
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