銀座○○という超有名店を、15年間(パリ支店時代も含めて)勤め上げて、3ヶ月前に、ここ日本橋(生れ育った地)に新しくお店を持ちました。
出てくる料理が、どれも押しつけがましくなく、穏やかに口や食道・胃にしみわたる感じ。材料も声高に自己の存在を主張することはないが、それぞれの、しっかりとした個性を感じさせてくれます。お腹がいっぱいになっても、西洋料理のように、もう沢山!といった感じはなく、快い充足感にひたれます。この高級料理をこれほど楽しみ、感じ入るとは、自分の舌その他の器官の能力も満更ではないと、自信を持ちました。
店主の料理哲学にも感服。こちらの質問に丁寧に、静かに答えてくれるだけで、余計なお喋りはしないが、そこに確乎たる信念や、前の店の大将への尊敬が感じられて、頼もしく、嬉しくもなる。
口の悪い三寸も、「自分は最近の日本に絶望しているが、ああいう若者がいるのだから、日本もそう捨てたものではないのかな」などと、後で言う始末。
今後贔屓にと言いたいところですが、お勘定が我が家の財布とは桁が違うようで、まず貯金から始めなければなりません。 |