ゆさん、なずなさん、おはようございます。 困った宿題を頂きました。私が「美味しんぼ」で好きなのは、山岡君と雄山の確執にからむやりとりや、栗田さんが次第に山岡君に心惹かれていくところなんですよ。ところがこの回には、雄山は登場せず、栗田さんの出番もほとんどありません・・・この回は、第4巻の第6話なのですが、第5話には、昔山岡君を好きだった女性(山岡君は最後までその事に気づかない)が登場して、栗田さんが心揺さぶられ、第7話では、雄山に破門された良三を山岡君が助け、それに気づいた雄山が大笑いする場面があるのですが・・・ 閑話休題、「うどんの腰」についてです。この回はいわば、山岡君自身の魅力をとりあげた回ですね。のちに栗田さんが言います、「山岡さんは、妙に人の心にすっと入っていくところがある」と。美味しんぼは一話完結なので、無理な展開も多いのですが、それを「無理」と感じさせないのが、この山岡君の人柄なんですね。下世話には「おせっかい」と言うのでしょうが。山岡君の魅力の第2は、くそ度胸です。彼は人の気持ちに忖度しないところがあり(ここは雄山に似ている)、思い切った行動に出ます。ゆさんの紹介した、七味唐辛子がその例です。本当にこんな事したら、あとで半殺しの目に合う筈ですが、そこが漫画のご都合主義ですね。それならもう、何でもありと作者が思ったか、スポーツを引退せざるを得ない大男3人が揃います。 山岡君が昔から馴染みの「力屋」に行くと、妙に寂れていて、親父さんも痩せて、元気がありません。近くに暴力団の店が出来て、団員が入りびたるようになったからです。この日も団員が栗田さんにからんできたので、山岡君が前述の暴挙に出ました。 その帰り、自殺しようとする相撲取りを山岡君が助けます。かわりに自分がおちてしまうのは、お約束のご愛敬ですね。他に、柔道をやめた人、プロレスをやめた人が、今後の身の振り方を相談しに、東西新聞社をたずねてきます。ここで山岡君が、3人に「力屋」を紹介するのです。いつも通り、我がもの顔でやってきた団員たちは、この3人に軽くのされてしまい、店に活気が戻ります。おやじさんは、うどんの腰を出すために、足で踏んでいましたが、この3人は、腕でこねるだけで、うどんの腰を出し、そのパフォーマンスとうどんの腰、さらにはちゃんこ鍋との組み合わせで、店が繁盛するのです。とまあ、話しの展開には、かなり無理があるのですが、その無理を無理と感じさせないのが、山岡君のひねり出すアイデアと、人柄という訳です。 ちなみに作中で山岡君は、うどんの腰のもとはグルテンであり、小麦粉の中のグリアジンとグルテニンが結合してグルテンが出来ると解説しています。のちに、貧乏な家庭で育った人の父が作ったガムが、小麦粉の中のグルテンを取り出していた事を解明する回もありました。グルテンは最近はアレルギーの元として忌避される傾向にありますが、重要な役割も果たしているのですね。ちなみに私は病院にいた時、米には小麦よりタンパク質が多く、よって米食の日本人は、肉食をしなくてもタンパク不足を補う事が出来たと教わりました。
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